先週の8月23日夜半から24日午前中にかけては、北陸以西の特に日本海側で記録的な大雨を記録した日。こりゃ23日の白馬村ナイターでのスキージャンプサマーグランプリも、24日新潟県燕市での北信越ミニ国体も、両方中止だろうと両地区の大雨のライブカメラを見てそう判断し、自宅待機をしてしまった。しかし結果的には大雨の中でもジャンプ競技は行われ、午前中で雨が上がった北信越ミニ国体も2時間遅れで開催され、大雨ながらともに予定通り試合が消化された。 そんなわけでジャンプのサマーグランプリも北信越ミニ国体も2日目だけの観戦になってしまった。当初は白馬でジャンプ観戦だけをするつもりだったのだが「白馬にまで来るなら新潟なんて近いですよ!」と長野県の本田美穂監督に騙されて(結構遠かった)新潟まで行くことにしたのは、本田監督が国体出場監督になる瞬間も見たかったのもあったから。しかしその長野県は優勝どころか1日目で敗退してしまうという吉本なら定番のオチで、結局長野県のユニフォーム姿すら見ることもなかったのだけどね。ボーン。ただ白馬でのジャンプでは葛西紀明選手の国際大会世界最年長優勝も見られたし、新潟でのミニ国体では石川県対富山県の面白い試合も見られた。白馬から新潟に向かい夜中に国道8号線を北上しているときは車のフロントガラスの前を今まで見たこともないような大きな流れ星も流れたし、その道中で新潟での全日本総合の時に島根三洋と同宿だったホテルの横を通って思い出にも浸れた。そしてなんといっても、ミニ国体の試合観戦後に足を伸ばした新潟県弥彦山西側の海岸では長年の夢だった「バシクルモン」をみることも出来た。本田監督に騙された甲斐があった。1000kmを1日で往復は結構しんどかったけど、でもやっぱり行ってよかった。1日の間に「ジャンプの国際大会」→「ソフトボールのミニ国体」→「バシクルモン」を見られるなんて贅沢の極み。ほんとに久々に中身の濃い1日だった。だから「バシクルモン」てなんやねんと。 無駄な前置きが長くなりましたが、北信越ミニ国体の試合の方を報告します。【北信越大会決勝戦】富山県 000 22010…14石川県 000 210 0… 3 石川県は去年はサンバイザー姉さんが投げて岐阜の本国体にも出場したのだが、その「まいうー石塚投手」はもはや子育て専任でおそらく3度目の正直引退。 その成年女子石川県チームと言えばもう一人有名なのが監督を務めている高島栄冶先生(金沢市立大徳中学)。 とにかく試合中はよく動き回って声を出してウルサくて、相手チームを応援している立場での試合では本当にもう最初っから鬱陶しくてイライラして仕方がない監督。 しかしそんな鬱陶しいと思っていた監督でも、2回終了くらいからはその言動が気になりだし、3回終わるくらいからは「次は何を言うかな」と無意識に期待するようになり、4回終わりくらいからはついついつられて笑ってしまう。今回の大会でも石川県の試合を観戦ということで、今日こそはあんな監督には釣られない、騙されないぞと意気込んで臨んだにも係わらず、3回を終わるくらいにはすでに引き込まれ、石川県の選手達と一緒になって高島監督のパフォーマンスに笑ってしまっていた。また負けた。 いろいろ強豪高校や強豪大学のソフトボールの試合を見てきて、特に星野メモリアルに参加しているような高校を見ていると、どうやら一応学校の教師も兼ねているらしいが余りにも人間的にクズ過ぎて「こんなひどい監督を『先生』とは絶対に呼べないな」と思う監督がほぼ100%なのだが、この石川県代表の高島監督にだけは敬意を表して「高島先生」と呼ばせていただきたくなるような、そんな魅力的な監督さんだ。一緒に試合している石川県の選手達も「困ったなあ」という表情をしながらも根は本当に楽しそうに見える。あんなにうるさくて騒がしくても、最終的にはちっとも嫌な気にはならない。選手やソフトボールに対する愛情が伝わってくるからこそどれだけうるさくても許せるみたいな、そんな監督さんなのだ。 と、無関係なことで長くなったが試合内容に移りたい。そんな監督に乗せられ前日には2部リーグの大和電機主体の長野県を破った石川県代表チームの選手たちがこの日も活躍。 同じく2部リーグのYKK主体の富山県を相手に4回に2点を先制されてもすぐさま追いつき、さらに5回に2点を取られてもその裏5安打で1点を返すなど食らいつく健闘。ただその5回、満塁の場面で中村選手のセンターオーバーのヒットが出ながらも二塁走者の判断ミスで1点しか奪えなかったのがあとあと響いた。この回一気に逆転していれば、あるいは石川県が勝って本国出場を決めていたかもしれない。 その石川県においてこの日がソフトボール人生でも最悪の日だったのかも知れないのが4番ファーストの辰島麻紀選手。チャンスで2三振はまだしも、守っては痛恨の4失策。正直彼女のエラーがなければ12点くらい防げていたかも知れない(笑)。最初のエラーが余りにもイージーミスだったのでそれを完全に引きずってしまったのだろう。 しかし長いソフトボール人生こんなこともある。むしろあった方が良いのかもしれない。金沢学院大のキャプテンとして、もうすぐ4年間の集大成であるインカレが始まるし、人生はこの後もずっと長く続く。この試合の失敗をステップにしてきっと人間的にも成長してくれるだろう。個人的にも何かとても応援したい選手が一人できた。 つい負けた方に肩入れしてしまうので後回しになったが、なんとか日本リーグチームの意地を見せて代表権を獲得したのが富山県のほぼYKKチーム。 今年になってからは主軸としてフル回転の血分智香投手が先発するも不調でピンチの連続だったが、5回途中からリリーフした坂本佳子投手が終盤をピシャリと抑えてくれた。やっぱりYKKのエースは坂本投手だ。攻撃でも相手にミスに乗じたとは言え7回には一挙10得点と打線も活発。本国ではどんな試合を見せてくれるのか楽しみだ。<よく抗議に出てくる高島栄治監督(石川県)だが、全てを計算していて選手を鼓舞するためにやっている感じで決して感情で動いてはいない><「おい端野!チャンスだぞお前が今日は一番当たっている!打てる!そこダメ!口元!!口引き締めて!!」「は、はい!」><そして端野恵理選手がタイムリー!><塁上でガッツポーズの端野選手。これが高島マジック(笑)><1死満塁から中村光里選手がこのセンターオーバーも痛恨の走塁ミスで1点止まりが痛かった><はいセカンドゴロ~、という打球をファーストの辰島麻紀選手がまさかの落球。これが最後まで響いた><YKKの先取点は谷口選手の二盗、三盗、本盗。本盗はタイミングアウトだったが、荒屋えりか選手のタッチが甘かったか><やっぱりYKKのエース。好リリーフの坂本佳子投手><全国展開している「元大鵬薬品選手の復帰運動」。富山県で復帰してくれたのが現在東京女子体育大所属の浜田京香選手(浜田京夏選手の1年先輩)。次は群馬県で復帰活動進行中><富山県を応援しに足を運んでくれたYKKのOG選手たち><その声援に応えた富山県のYKKの選手たち>【2013東京国体・出場12チームの紹介】この北信越予選の翌日に延期していた関東予選の第2代表も決まり、全ブロックの代表が決まりました。【北海道】北海道~石狩SC主体のチーム。トヨタ自動車が弱い時代に入り、弱い時代のまま引退した丹野あずさ選手がこのチームの主将を務める。【東北】山形県~チームの詳細は不明。山形県で行われた東北予選ではその山形県が少年成年全4種別で強さを発揮して全てで出場権獲得。成年女子では、東北福祉大主体と思われる宮城県に1-2と僅差ながらも勝利し、なんと23年ぶりに国体出場権を獲得した。果たしてどんな選手の集まりなのだろうか。今年の国体では一番の謎でそして一番気になるチーム。【北信越】富山県~2部リーグのYKK主体のチームに元大鵬薬品で現在東京女子体育大在学の浜田京香選手が参加。県大会では大沢野ウィンディーズと松本大所属の富山県出身選手も加わっていた模様。【関東】ルネサス~太陽誘電主体で国体に出て優勝した年も、マスコミは「ルネサス、総合に続き2冠」みたいな書き方をしていた。まあそのことを根にもった当てこすりではある(笑)。河野美里と遠山佑奈頑張れ。しかし遠山が国体群馬チームに選ばれるまでの選手になったか…。栃木県~Honda主体のチーム。あるいは単独チームなのかも知れない。知り合いのHondaファンのふるぐらさんが、栃木県の国体優勝を祈願して既に雨乞いを始めた様子。【東海】愛知県~愛知県で優勝したトヨタ自動車主体でデンソーと織機の選手が参加。個人的には、どうせならデンソーといい勝負をした佐川急便中部の選手も一人くらい選んであげてほしかった。どうせお祭りなんだし。でその愛知県チーム、東海地区予選では核になる選手がいなくてもたもたしていたが、その時は予備登録扱いだったアメリカ帰りのベテラン3人(狩野、坂元、渡邉)が加わったら少しは引き締まるか。【近畿】兵庫県~シオノギ製薬主体で兵庫県内の大学生が3人参加。しかもその大学生の古澤選手が4番を打つというシュールなチーム。松本、岩田の両投手が好投し2日間くらい雨が降れば優勝も夢ではない。大阪府~闘将増野由佳キャプテンと、引退して体重計の針が「倍返し」になったエース松村歩投手のシオノギOG2人が投打の柱。しかし予選では石川投手など現役大学生も大活躍したように現役実業団選手のいない如何にも国体チックな完全混成チーム。そして佐川急便主体の京都府に完全試合負け寸前から大逆転勝利を上げ代表権獲得を決めた試合で劇的な逆転サヨナラ二塁打を放ったのが元豊田自動織機の川口藍選手。 ちなみにその川口藍選手。長崎での総合出場を決めた試合でも3打席連続弾と大活躍。しかし自宅から30分で行けるインカレには所属の武庫川女子大は出場権を獲得できず。長崎と東京へは行き大阪には行けないという彼女は、果たして親孝行なのか親不孝なのか…(笑)【中国地区】岡山県~県大会で平林金属を破り、ブロック大会で島根県(DANDAN)を破ったIPU環太平洋大学主体のチーム。主体というか単独か?しかしまたしても島根県(三洋、DANDAN)の前にIPUが立ちはだかったか~。島根県を本大会で見たかった。無念……。【四国地区】愛媛県~徳島県に大鵬薬品なき今となってはもはや四国は伊予銀行の独擅場。伊予銀行に入れば毎年国体に出られる(はず)。【九州】福岡県~大学生の寄せ集めを主体としたチームで県予選で負けたCLUB北九州の選手は一人も参加せず。ただし唯二人の非大学生選手の一人として元東芝北九州で現佐川急便九州の好打者、古賀香寿美選手が参加。 福岡大4人、園田学園女子大3人のほか、九州共立大や大阪大谷大の選手もいるが、やはり選手としての注目は小倉商出身で現在日本体育大の岡村奈々投手か。岡村投手を擁する福岡県が本国でどこまでいけるかも楽しみの一つだ。長崎県~元大鵬薬品の中山亜希子選手や現東海理化の越智佳奈子選手、豊田自動織機の金澤杏奈、中村白両選手、デンソーの安永美穂選手、靜甲の佐藤友麻選手など実業団由来選手が来年の長崎国体に備えて集合したチーム。しかしチームの核は中山選手をはじめとし6人がエントリーしている地元諫早の出口医院ペパーミントエンジェルズである。本国体を来年に控え、成年女子も是非ともある程度の結果を残したい。長崎県は男子は強いらしいのだから。【おまけ】<2013年サマーグランプリで優勝した葛西紀明選手。まあ強豪のほとんどが来日していなかったとはいえ、優勝は優勝。><そしてこれが例の「バシクルモン」。キョウチクトウ科の地味な植物。本州では青森県の一か所と新潟県のここだけ。バシクル(カラス)+モン(薬草)というアイヌ語が名前の由来>]]
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